エラート1000シリーズ・パロックの大作曲家たち―(17)



クープラン

《ル・パルナス、あるいはコレルリ讃》

《神聖ローマ帝国の人》

《 リュリ讃 》



ジャン・フランソワ・パイヤール指揮 パイヤール室内管弦楽団



●18世紀のフランス

18世紀のフランス。それは、フランスの歴史のなかで、もっとも波瀾の多い時代であった。比類のない強力な国家権力を握り、絢爛たる文化を築いた太陽王ルイ14世は、1715年に世を去った。続くルイ15世の時代には、ポーランド継承戦争、オーストリア継承戦争、7年戦争と、相次ぐ参戦に尨大な国費を使い、いくつかの植民地を失い、国民は重税にあえいだ。ルイ15世の死後、1774年に即位したルイ16世の時代になって、国民の不満はその極に達した。1789年、国王の召集した《三部会》を発端として、《第3身分》たる平民の圧政に対する反抗は、バスチーユ牢獄襲撃となって現われ、いわゆる《フランス革命

》へと発展したのである。1793年、ルイ16世及び王妃マリー・アントワネットの処刑によって、長い間続いたブルボン王朝が倒れ、共和制がひかれたがそれも安定状態を生むには至らず、1795年には革命の一方の旗頭であったロベスピエールも失脚、処刑されてから、やや小康を得たが、それも傑出した人物を欠いて、長くは続かず、18世紀もまさに終らんとする1799年11月、軍隊と一般民衆の支持を得た将軍ナポレオンのクーデターによって、脆くも破れた。かくして、フランスは、ルイ14世の強力無比の専制政治から、ナポレオンの出現に至る激動の1世紀を終えたのである。

芸術の上では、ルイ14世時代の絢爛豪華なバロック的様式は、ルイ14世の死後、次第に軽快で、繊細で、優雅なものへと変っていった。それが最も顕著に表われているのは家具調度品や室内装飾で、好んで用いられた貝殻様の装飾を表わす〈ロカイユ roca- ille>からこの時代の様式を《ロココ様式》と呼ぶようになったのである。そうした傾向は、絵画でも、アントワーヌ・ヴァトーのような、線の細い、優婉な画家を生んだ。



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