ロートレックの謎を解く

高津 道昭

新潮選書 1994



パリの哀歓を描き続けたロートレック。流行の印象派に背を向けたのはなぜか。ポスターの道に入り、芸人ばかり描いたのはなぜなのか。なぜ巨匠とはいわれないのか。彼の名を世界的に有名にしたポスターと、彼の油彩・石版はどこでつながるのか。そして浮世絵との関係は。ロートレックの天才が見えてくる美術文明論



目次

序 断ち切られたポスター

第１章 過ぎゆく時代の光と翳

南仏の陽炎

名門の残照

パリの石だたみ

都会の画塾

夜の街、紳士の徘徊

小さな巨人

絵画かポスターか

戯画作者の面目

ユーモリストの側面

第２章 モンマルトルの隣人たち

愛ある暮らし

画家になったヴァラドン

ライトを浴びた芸能人

芸術を理解したアヴリル

颯爽たるブリュアン

誇り高きシャンソン歌手

目を閉じたマルセル

芸術交流の深まる秋

ゴッホの肖像

点描のスーラ

文芸誌のサロン

第３章 ロートレックの地平

ドガを追う男

師匠の狼狽

揺れるガス灯

印象主義を排す

写真の効用

エッフェル塔下の日本熱

北斎漫画の受難と復活

浮世絵に学んだ印象派

第４章 芸術的ポスターの展開

文字のある絵画

デザイナーの素質

タブローとポスターの接点

辛辣なる象徴表現

文字のサーカス

アール・ヌーヴォーの触手

ポスターの密約

赤い風車は無かった

ポスターはなぜ描かれたか

パリの浮世絵師

テーマはいつも人間

トゥールズ＝ロートレック年表



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