ブラームス

交響曲第1番ハ短調 op.68



指揮：カール・ベーム

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

ミシェル・シュヴァルベ(ヴァイオリン・ソロ)

録音:1959年10月ベルリン

ステレオ(アナログ/セッション)



ベームは1975年にウィーン・フィルと交響曲全集を録音していますが、これはその16年前ベーム65歳の録音です。ベームの長い録音歴の中ては、1960年前後がまさにベームの壮年期であり、厳しい造形の気迫、それに応えるベルリン・フィルの怒涛のアンサンブルが素晴らしいです。第1楽章の剛毅さと緊張感、第4楽章の高揚感と豊穣な表情はこの時期のベームだけのものです。録音も全く不満のない鮮明さです。2017年の名曲名盤500では第4位に選定されています。ベスト1に推す方も多いと思います。



全盛期のベームならではの名演です。ベームによる数ある名演の中でも、そして同曲の様々な指揮者による名演の中でもトップの座に君臨する至高の超名演。第１楽章の序奏部において悠揚迫らぬテンポで堂々と開始され、その後主部に入ると阿修羅の如き早めのインテンポで曲想が進行していく。各楽器を力の限り最強奏させているが、その引き締まった隙間風の吹かない分厚い響きには強靭さが漲っており、それでいて無機的にはいささかも陥っていない。第２楽章や第３楽章も比較的早めのテンポで進行させているが、ここでも重厚な響きは健在であり、各旋律の端々から漂ってくる幾分憂いに満ちた奥深い情感には抗し難い魅力に満ち溢れている。第２楽章におけるシュヴァルベのヴァイオリンソロのこの世のものとは思えないような美しさには身も心も蕩けてしまいそうだ。そして、終楽章の重戦車が進軍するが如き堂々たるインテンポによる重量感溢れる演奏には、あたりを振り払うような威容があり、終結部の畳み掛けていくような気迫と力強さは圧倒的な迫力を誇っている。この当時のベルリン・フィルには、フルトヴェングラー時代に顕著であったドイツ風の重厚な音色の残滓があり、ベームのドイツ正統派とも言うべき重厚にして剛毅なアプローチに華を添える結果となっている。音質も素晴らしいです。



国内盤【廃盤】帯無し、盤面傷無し

プラケース少しすれあり



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