①チャイコフスキー：ピアノ協奏曲第1番変ロ短調 Op.23

②ラフマニノフ：ピアノ協奏曲第2番ハ短調 Op.18



アルトゥール・ルービンシュタイン（ピアノ）

指揮：エーリヒ・ラインスドルフ①

ボストン交響楽団①

指揮：フリッツ・ライナー②

シカゴ交響楽団②

録音：1963年3月①、1956年1月②



ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。フリッツ・ライナー率いるシカゴ交響楽団との共演。引き締まったライナーのオケにルービンシュタインが柔らかく叙情的に挑む。気高さと余韻の清冽な美しさで他の演奏を大きく凌駕する。神経質な演奏ではないのだが、希代の名演奏家同士、ピアノもオーケストラも、細心のうえにも細心に音を徹底的に練磨している。ライナーの完璧志向が、ソロでは自在な腕を誇るルービンシュタインに少なからず影響をあたえ、全体は強音をもとめぬ禁欲的なスタイルであるが、ここはというときの一瞬の迫力の感興は並々ならぬものがある。音と音の瞬時の余韻、あるいは気品ある微弱音の響きがなんとも美しく耳にとどく。長年のベストセラーとなったのもうなずけるすばらしい演奏である。1956年の録音とは思えない鮮明なリヴィング・ステレオの録音にも驚かされる。



チャイコフスキーも素晴らしい名演。ルービンシュタインが76歳の時のもので。ルービンシュタイン３度目のチャイコフスキー録音ですが、以後録音することはなかったことから、ルービンシュタインの集大成の演奏ということになる。ここに存在するのは、スコアを真摯に、そして誠実に音化していこうとしている音楽性豊かな偉大なピアニストだけ。楽想をしっかりと踏みしめるように着実にその歩みを進めていく。単にピアノを鳴らすだけでなく、どの一音にも情感がこもっており、演奏全体としてもロシアの悠久の大地を思わせるような壮大なスケールを誇っている。テクニックも桁外れのうまさで、強靭な打鍵から繊細な抒情に至るまで表現力の幅はきわめて広い。同曲演奏史上においても最も純音楽的な名演と言える。これにはルービンシュタインの円熟を感じずにはいられない。



国内盤【廃盤】帯無し、盤面傷無し　6



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