フラワーアレンジメント
白石 新子
日本ヴォーグ社
定価: -¥ 1200+税

季節の移ろいを花に託しながら、いかに美しく、すてきに見せることができるか……。一輪の花、一葉の表情を見つめ、語りかけて、美と個性を見つけましょう。たおやかに波打つ花びらや茎の流れ、自然が作った美しい贈り物を生かしてデザインしてください。自分の周囲を見てみましょう。きっとすてきな花合わせ、色合わせに出会ううことでしょう。そして、この本のページをめくるごとに、花の優しい香りがささやきますように……。　　　白石新子

✦花や色をまとめて〚グルーピング〛
花や葉、枝を分散しないで、花や色をそれぞれ一つの集団にして、挿す方法です。…。それぞれの花や色の印象が強くなり個性豊かな花あしらいとなります。
✦かわいく優美に〚プティ〛
小さな花で暮らしを彩る知恵が注目されています。小さくても存在感のある優美なアレンジメントは見る人に新鮮な驚きを与えます。一輪の花にも心を通わせ、花の心を引き出して、四季の香りを伝えたいと思います。
✦同色系でまとめる
〚グラデーション〛
✦自然のラインを生かす
〚ラインの美〛
✦愛と美を込めて
〚ウェディングブーケ〛



欧米の建築を眺めると、庭園も含めて最も理想的な美しさは、左右が対称であることのようです。また欧米では、すき間のあることを嫌う傾向があり、絵画を見ても空間をできるだけ埋めようとしていることがうかがえます。
一方わが国では、不均衡のなかにそれぞれの動きや流れ、奥深さを想像させようとしています。たった一本の線が、空間を横切る美しさを、私たちは自然のなかから身につけてきました。
色彩についても、欧米のものは鮮やかで明快です。日本古来の色は、同じ赤でもあかね、すおう、もえぎなど、淡く柔らかな自然の色を生かしてきました。…。アレンジメントといけばなの違いは、そのあたりにあるのではないかと思われます。しかし最近では、アレンジメントにいけばなの線や長短をつけることが注目され、とり入れられていますので、区別がつきにくくなってきています。アレンジメントは、どんな花でも色どりさえ美しければとり合わせることができますし、洋服によくマッチします。持ち歩きできるブーケもあります。

〈『はじめての池坊いけばな入門』
　~アレンジメントと自由花の違い　　　　　　　　　
　より〉