1994年　77p

あいさつ
中央アジアの大地を巡り、その風土に生活する人々の持つ「ひとのかたち」の美しさを追 究し続ける田村能里子氏。
1944年、名古屋市に生まれた田村氏は、武蔵野美術大学を卒業後、 25歳から4年間イ ンドに滞在、大地に根を張って生きるインド女性に美の原像を見いだし、飽くことなくその姿 を描き続けました。 帰国後も情熱はおとろえることなく、 熱い太陽が照りつけるインドの大地 を思わせる独特な 「赤」 を基調に、生命感と精神性を内面に込めた女性像を描き続けまし た。これまでに「陽炎女」 「陽だまりの女達」 などのシリーズをはじめ、多くの作品を生み出し ています。 1986年には文化庁芸術家在外研修員として中国に留学、 アジアの沙風の中に 生きる砂漠の民をモチーフに、そのフォルムのもつ美しさを追究しながら、 シルクロードを旅 しました。 そこで出会った老人たちの美しく老いてゆく姿は画家の心をとらえ、 その後の画境 を広げる契機となりました。
近年は、キャンバスに向かうだけでなく、 中国・西安市のホテルに描いた壁画「二都花宴 図」に代表される、 環境芸術にも積極的に取り組み、 建物の巨大な壁面と内部空間の調和 をめざす画家としての活動も高く評価されています。
本展は、田村氏の25年にわたるアジアへの旅を、 新作を含めた油彩、 デッサンにより展 観するものです。 本展開催にあたり、 ご後援を賜りました日本中国文化交流協会、 ご協賛、 ご協力いただきました各社、ならびに貴重な作品をご出品いただいた美術館、ご所蔵家を はじめとする関係者の皆さまに深甚なる謝意を表します。

表紙小傷、小汚れ、折れ線。もちろん読む分には問題ありません。

なお細部に至るまではチェックしきれない場合がありますので、書き込み・線引き・記名・蔵書印・値札等ある場合があります。ご理解の上、ご購入下さい。