昭和58年　517p

あとがき
この三月廿六日に七十五歳の誕生日を迎へる。そのこともあって、急に思ひ立って、これまでに書きためておいた ものを一冊にまとめたいと思ひ、橋本・有吉・杉谷三氏にその旨を依頼した。 思ひ立っても自分一人では急にはその ための準備などが進められないためであった。
この書物は、さきの 「枕草子研究」にひきつづいてのものであるから、「枕草子研究(続)」と題名を定めた。しかし 調査してみると枕草子関係のみでは分量的に少し心許ないので、その周辺にわたって書いたものも第二部として併せ 含めることにした。
又、出版にあたっては、武蔵野書院主、前田翁を介して馴染の深かった故池田猛雄氏との口約束もあり、笠間書院 のお世話になることになった。早急の完了を希望するといふ時間的制約の中、なにかとやりづらひ仕事を書院のみな さんの御尽力のお蔭で、どうにか目的通り運びさうな状況である。 一重に社長の池田つや子氏、 加曽利達孝氏の御厚 情によるもので、深くお礼を申しあげなくてはならぬことである。
昭和五十八年二月
本書の文章の文字表記がいろいろであるのは、発表誌によるものであって、無理にこの期に及んで統一しようとは しなかったからである。 それにしてもあらためて今度校正刷を読んでみると、不十分なところが気になる。しかし、 とにかく過去は過去としてそれに引きづられることなく、新しく歩まねばならぬといふのが実感である。
印刷準備段階からは杉山重行君がもっぱら奮闘して、細々としたことまでよく心を遣って処理してくれた。 まこと にありがたかった。大学院の伊達佳弘君にも面倒をかけた。いつものことながら多くの人々の温かい応援をえたこと をここに誌してお礼申し述べたい。
岸上慎二

外箱小傷、小汚れ。もちろん読む分には問題ありません。

なお細部に至るまではチェックしきれない場合がありますので、書き込み・線引き・記名・蔵書印・値札等ある場合があります。ご理解の上、ご購入下さい。