昭和50年 110ページ

あとかき
形ものと呼ばれている花以外のむきものを五十余点集め、「花五〇選」の続編といたし ました。数あるむきものの中から、何を選び、どれを捨てようかとたいへんに迷い、苦労 いたしましたが、あくまでも料理に携わる方が作ることを念頭に、料理に使える利用度の 高いものから始め、料理と共に飾り付けても不自然でないものを選びました。
むきものの中には、趣味的にむくもの、あるいは展示会などに出品するために
も数多くありますが、それらはむきものをむける人が、己れの創造力で新しい形を生み出 していくもので、ある程度むけるようになったときの各人の楽しみだろうと思います。 こういったことをふまえて、この教本では、初心者を対象に、確実にマスターできるも のを順に並べてあります。簡単なものでも馬鹿にしないで、ひとつひとつむく中で、包丁 に慣れることをおぼえるよう心掛けて下さい。
むきものは、包丁の切り込みひとつで形が変ってしまうことがありますし、むき上がり の包丁の跡がきたなくなることがありますから、必ず簡単なものから始め、基礎となる包 丁の使い方をマスターするよう努力して下さい。経験からいって、基礎さえがっちりでき ていれば、さまざまな趣味的なむきものをむけるものです。
花の教本と合わせますと、実に百余種のむきものとなります。 そのひとつひとつを自分 のものに消化していくことは、たいへんな努力ではありますが、何かのときに役に立って くれます。体得したものは荷物にはなりませんから......。
この本を発刊するにあたり、弟子の阿部祐治君をはじめ、斉藤定男氏、松田善三氏、荒 谷忠蔵氏、そして本檜会の諸氏の助力に感謝いたします。
檜山 博

外箱傷、小汚れ、ややシミ。ページ小黄ばみ。

なお細部に至るまではチェックしきれない場合がありますので、書き込み・線引き・記名・蔵書印・値札等ある場合があります。ご理解の上、ご購入下さい。