明治44年　厚さ2.5㎝程度

小杉放庵【こすぎほうあん】
洋画家。本名国太郎。初めの号は未醒(みせい)。栃木県に生まれ，上京して小山正太郎に学ぶ。日露戦争の従軍画家となり，さし絵や漫画で知られたが，文展開設以後洋画でしばしば入選。横山大観との交遊から院展洋画部を主宰することになり，また1922年春陽会の創立に参画。もともと東洋的な色合いの洋画を描いていたが，晩年おもに日本画を制作した。代表作《水郷》《山幸彦》《西遊記》など。歌集，随筆なども残している。
出典　株式会社平凡社百科事典マイペディア

はしがき
○てから連中で、皆が一時に同じ地方の寫生旅行をしたら面白い事であらうと 云ひ合って居た、そこへ今年の十月に、太平洋書會の林田君を経て、小豆島の 神懸山保勝會から來遊をすいめて来た、是が此の十人寫生旅行の起りである。 ○中村君は此の行を共にした譯ではない、中村君は我々が同遊を誘った時に、他 の處なら兎も角、小豆島へは前に二度も行ったし、折節健康も思ばしくないか 同行は出来るが、後で何か念出版でもするやうな事があれば加はらうと 云ふ約束であったので、我々の九人に同君を加えて此の「十人寫生旅行」を作 つたのである。
○石井君に洋行の出立間近であったので、三日ばかりで踊ったが、後の連中は十 日乃至二週間を暮した、天氣も快晴続き土地は暖かし、皆々思ひ思ひに些の弛み なくカンバスと三脚とに親む事を得た、それ等に就ては保勝會長の關谷氏、副 會長の秋田氏、郡書記の鈴木氏、土庄の大森氏始め島の人々が、よく我々の氣分 呑み込んで、我々の妨げを除き我々の便宜を計って呉れられた事も感謝して

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