黄伊羅保（きいらぼ）は高麗茶碗の一種で、素地に夾雑物が多く含まれ、黄色を帯びた釉が掛かっているのが特徴です。こちらは4代六兵衛による写しで、本歌の特徴をよくとらえた優品です。口辺部の疵の様に見える箇所は「べべら」といい伊羅保茶碗の特徴の一つで小石や砂が弾かれた部分の土がささくれた素地のたるみで、特別な風情として珍重され、欠けではございませんのでご安心下さい＊写真⑪。高台は釘彫になっており鋭い箆の削りが良く表れております＊写真⑩。このように随所に伊羅保の特徴が楽しめる逸品でございます。また内側には六兵衛さんの手跡も残っており見どころの一つとなっております＊写真⑧。

いつ頃の物かの定かではありませんが古い覚書が付属しています。恐らく大正～昭和初期頃のものではないかと推測しております＊写真⑫⑬。

濃茶、薄茶どちらでもお使いになれます。

箱の状態も良好です。



口径15㎝　高さ5.8㎝　高台径5.6㎝



共箱。



▢4代清水六兵衛（きよみずろくべえ）

嘉永元年(1848)～大正9年(1920)

京焼陶家。京都。三代六兵衛の長男。過去三代にわたる陶技を整理統合して六兵衛風を完成する。五条坂の陶器組合の創立に参加するなど業界の発展に尽力、遊陶園佳都美会などの運動を通じ、京都の陶芸の発展向上に貢献。作風は彫塑的なものにもすぐれ、洒脱味がある。印判は六角枠内に大徳寺の牧宗宗寿筆の「清」の字大小二印、他に「清六」、仮名の「六くへ」印および筆書・箆書。隠居後は「六居」と書く。



【参考文献】

落款花押大辞典　淡交社



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