エレトニドの銀貨
シヴァス（アナトリア）
アナトリア（現在のアジアトルコ）は、かつてビザンティン帝国の一部であり、帝国の首都コンスタンティノープルの統治下にありました。当時、シルクロード経由でヨーロッパと中国の間で取引される荷物を運ぶ無数の隊商が、アナトリアの山岳地帯や高原を行き来していました。ビザンチン帝国は長い間揺るぎないものでしたが、11世紀になって、遊牧民であるセルジューク系トルコ人がアナトリアを侵略すると、住民の大半が都会へ逃げ出したため、この地方の農業は事実上放棄されました。2世紀後、モンゴル世界帝国のひとつ、イル・ハン国がこの地に襲来しますが、モンゴル人が有効な政府を組織しえなかったため、セルジューク：トルコの支配に代わり、勢力の弱い多くのスルタンたちが頭してきます。
1335年中央および東部アナトリアにトルコ人のエレトナが開いたエレトニド王朝もそうした中のひとつでした。エレトナはモンゴルの総督に仕えていましたが、総督が1326年に反乱を起こしてエジプトに逃れたすきに、この地方の支配に乗り出したのです。
エレトニド王朝が発行したディルヘム銀貨には、スルタンの名、鋳造所、年号を示す銘がモンゴル語で刻まれており、通常、6稜星または他の装飾枠で囲まれています。

種類···外国貨幣/硬貨