ベートーヴェン

①ピアノ協奏曲 第５番 変ホ長調 作品73《皇帝》

②ピアノ協奏曲 第４番 ト長調 作品58



ヴィルヘルム・バックハウス（ピアノ）

指揮：ハンス・シュミット=イッセルシュテット

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

録音：1958年、1959年 ウィーン



20世紀ドイツ最高のピアニストのひとりで「鍵盤の獅子王」と称えられた巨匠バックハウスによる、ベートーヴェンのピアノ協奏曲5曲のうち、人気の高い2曲を収めたアルバムです。ピアノ協奏曲の王者たりうる風格を備えた名作がまさにそのイメージどおりに、深い内容表現と気宇広大なスケールで再現された演奏です。録音から半世紀以上を経た現在でも未だに輝きを失わない、ベートーヴェンのピアノ協奏曲演奏のスタンダードとして君臨する屈指の名盤です。



「鍵盤の獅子王」と聞けば「超絶技巧でバリバリ弾く」というイメージを持たれるかもしれませんが、バックハウスの演奏はそうではありません。しかし、一言で言い表せないのがバックハウスの魅力です。ぶっきらぼうに弾いているように見えてベートーヴェンの核心を突く演奏、神経質なところが少しもなく、骨太で重厚なのに軽やか、しかし風格と雄大さを感じさせる摩訶不思議な演奏です。「お休みの日は何をされていますか？」との質問に「ピアノを弾いています。」と答えたバックハウス、それほどピアノを弾くことに命をかけ、ベートーヴェンを演奏することに人生を捧げてきたことの証がこの演奏です。



バックハウスの「皇帝」には幾通りかあり、この最晩年のステレオ録音では、S.イッセルシュテット／ウィーン・フィルが相応しいサポートを繰り広げています。バックハウスの熱気がひしひしと伝わってきます。聴き終えてすごい充実感に浸りました。第4番では比較的内省的な曲調を、テクニックを前面に出す演奏も多いですが、バックハウスが穏やかに再現しているのが流石だと感じました。最高のカップリングの2曲です。



国内盤【廃盤】帯無し、盤面傷無し



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