ベートーヴェン

①交響曲第5番ハ短調 Op.67《運命》

②交響曲第7番イ長調 Op.92



指揮:グスタボ・ドゥダメル

シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ

録音:2006年2月 ベネズエラ中央大学



クラシック世界ナンバー１レーベルのドイツ・グラモフォンが南米ベネズエラ出身の25歳の若手指揮者と専属契約、そして、デビューCDが王道中の王道のベートーヴェンの5番&7番、オーケストラがベネズエラのユース・オーケストラ、何から何まであり得ないほどの驚きの連続で、強烈な印象を残しました。南米とクラシック、あまりピンときませんが、考えてみればアルゲリッチだってアルゼンチンの出身。ベネズエラは若者の情操教育にクラシックを取り入れており、ユース・オーケストラといっても優秀な若手人材があふれるほど。ドゥダメルもそういう環境で育ち、23歳でマーラー国際指揮者コンクールで優勝、グラモフォンがいい加減な契約をするはずはありません。肝心の演奏は、低弦は重厚、高弦は切れ味鋭く、管楽は的確で美しい音色、引き締まった筋肉質のプロポーションでエネルギーが満ちあふれている、そんな印象を持ちます。カルロス・クライバー／ウィーン・フィルと並ぶとまでは言えないとしても、そこそこ良い線まてきていると思えてきます。



この若い指揮者がまるで魔法を駆使するがごとくタクトを振るうと光のきらめくごとくオーケストラからメロディーがあふれ出す。何これ！ぞくぞくする！わくわくする！こんなクラシック音楽あり？若々しくてシャープ、しかし聴かせどころはきっちり。彼らの体全体で演奏する、うねりを感じるベートーベンです。



楽団員のほとんどが、プロフェッショナルなエリート教育の中から出てきた人々ではない。困難な生活の現場である街やストリートと、彼らの音楽は直結している。当然彼らが奏でる音楽は、カラヤン、アバド、クライバー等が響かせるものとは違ったものになる。この演奏をベートーヴェンが聴いていたら、最後の音が鳴り響く前に立ち上がり、拍手を送ったのではないだろうか。



輸入盤【廃盤】盤面傷無し

プラケース少しすれあり



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