●江戸明治和本●教民の詞（早印本）

【判型】半紙本1冊。縦228粍。

【作者】不明（萩図本・明大本は沢宣嘉(のぶよし)作、慶応4年刊とする。本文末の花押は沢外務卿と一致）。

【年代等】慶応3年（1867）冬作・刊。［萩］萩藩板。

【備考】分類「往来物・法制」。早印本。『教民の詞』は、中国宋代の思想家・陳襄（1017-80）の教諭書を七五調の和文に改めた教訓書。「人と生れてひとゝなる、みちをしらねばならぬもの、さてその道といふことは、まづちゝ親となるものは、ものゝ道理をわきまへて、女房や子供にいたるまで、こゝろ得ちがひなきやうに、能々おしへさとしつゝ、家業を精出しおこたるな…」と筆を起こして、家長の義務や子育ての心得、親の慈悲、子の孝行、夫婦関係・夫と妻の心得、人づきあい、家業出精と堅実な生活、余力学問、日常生活における善行などを説き、以上の事柄を「朝に夜に心にかけてつとむるを学文するとはいふぞかし」と述べ、日々油断無く人の道を怠りなく努めよと勧めて締め括る。この和文の作者は不明だが、跋文には長門国阿武郡当島の県令・杉修道(おさみち)（民治(みんじ)（「たみじ」とも）・梅太郎＊吉田松陰兄）の求めにより本書を記した旨を記載する。なお、旧謙堂文庫本には明治元年（1868）9月の「右、萩表ニ而上梓相成、一村一部宛被下候…」の書き入れがあり、本書が領内各村に配布されたことが分かる。

★原装・題簽付・美本。稀書（全国に所蔵数カ所（国文学研究資料館DB））。

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