J.S.バッハ

無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲

BWV.1001-1006　（2枚組／全6曲）



ギドン・クレーメル（ヴァイオリン）

録音：1980年3月、6月　オランダ、ハーレム、ルター教会

録音方式：ステレオ（アナログ／セッション）



クレーメルは約20年後に再録音もしていますが、これは第1回目の録音です。切れ味鋭いカミソリのごとく、かつ荒々しい迫力もあり、ダイナミクスの幅が広く、常に緊張感を強いられる演奏です。パルティータ第2番の有名な「シャコンヌ」は極めて構造的な解釈と寸分の緩みもない完璧な演奏で、作品の核心に迫っています。かといって、厳しいだけの演奏ではなく、洗練されたバッハ特有の美しさと、その音色の美しさも存分に味わい尽くせます。バッハの偉大さとクレーメルの凄さをあらためて思い知らされ、バッハと対峙する喜びをかみしめられます。



ヴァイオリンを極限まで使いこなし、あるときは炎のように、あるときは氷のように、あるときは春風のように表情を変え、バッハの内面をその神髄に至るまで掘り下げています。特に、パルティータ第２番のシャコンヌの鬼気迫る壮絶さには聴く度に打ちのめされます。ソナタ第１番のフーガ、著名なメロディーが聴ける軽やかなパルティータ第３番も秀逸。他の曲の演奏も何れ劣らぬものばかり。聴き終わってじっくりバッハと対話をしたかのような気持ちになる稀有の名演。



最高の演奏、録音も大変良いです。ある程度音質を考慮したCDプレイヤーとヘッドホンのセットで聞いてみると、すばらしい演奏の中で、クレメールのため息にも近い、体は酸素を要求しているが演奏のために必死で呼吸をコントロールしている息遣いが聞こえてきます。ほとんどスクワットの運動をしているかのようなクレメールの全身を使った演奏のために、まるで武道の踏み込みのときのような足の擦れ合うような音も聞こえてきます。魂に響く演奏が良い状態で自分の耳に聞こえ、すばらしいの一言。可能な限りよいオーディオで聞くことをお勧めします。



国内盤【廃盤】帯無し
盤面微すれありますが再生問題無し

オリジナルジャケット盤



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