東宝特撮映画　海底軍艦　昭和38年公開映画

解説&みどころ
昭和30年代前半の「地球防衛軍』「宇宙大戦争などの東宝特撮SFスペクタクル路線以来、かさしぶりの正月映画に返り咲いた新境地の海底冒険SF。原作は、日本SFの祖とされる押川春波が1900（明治33）年に発表した「海島
冒像奇譚 海底軍艦」を現代風にアレンジ、同時期に海外でカラーワイド映画化された数々の
ウェルヌやドイル原作の特撮海洋冒険SF映画に登場した万能潜水艦ノーチラス号に代表される世界SF映画潜水艦のニューフェイスとして、
東宝特撮映画屈指の花形メカー海底軍艦「講
天号」がデビューした。敵方には海外エピック
映画ふうのムウ帝国やキングギドラに通じる東洋的な新怪獣マンダを配する一方、主役側には東宝お家芸の戦記映画の雰囲気が漂っている。

今回の東宝特撮シリーズには入らないが、敷動の昭和史を反映した戦前からの戦記スペクタクル映画の路線は、円谷英二率いる東宝特殊技術課の力が本格的に発揮された1940（昭和15）年公開の『海軍爆撃隊』「燃ゆる大空」から始まり、「南海の花束』「ハワイ・マレー沖海載」『加藤隼戦闘隊』など・・・・・・戦時下で1944（昭和19）年までつづいた。そして戦後は、1953（昭和28）年10月公開の東宝オールスター戦記映画『太平洋の鷲」で本多猪四郎監督と特殊技術の円谷英二が初めて組み、1954（昭和29）年2月公開『さらばラバウル」が、製作の田中友幸が本多＆円谷と初めてゴールデン・トリオを組んだ記念作となる。こうした特撮戦記映画のノウハウから「ゴジラ」が誕生し、今回『海底軍艦」という全編特撮の見所が満載された、新たな娯楽冒険巨編に結実した。