津川管部シリーズ"人気の秘密
　　　　　文芸評論家郷原

西村京太郎氏の十津川警部シリーズは日本の推理小説の最長不倒距離記録を更新し続けている。そのフォームの美しさと距離の長さもさることながら、これだけ長期間にわたって読者の人気を集め続けているシリーズは、世界でもちょっと前例がない。
その理由は、はっきりしている。要するに面白いからである。魅力的な謎、論理的な展開、意外な結末の三要素に加えて、一作ごとに新しい発見があるので、読み続けて倦きるということがない。
本書もまた、その例に洩れない。華なアリバイトリック、刑事が殺人容疑で逮捕されるという意外性、旅情を誘う窓外の風景。西村ファンの十津川中毒は、これでまた深化することだろう。

※長らく自宅本棚にあったものですので、それなりの経年劣化はあると思います。ご購入をお考えの方はその点、ご理解いただけますようお願い致します。