普通の人々の小さな日常の事件を季節ごとに描き出す、「季節風」シリーズを４冊まとめて提供します。読者が懐かしく同意できて最後に切なくさせるのが重松の短編小説。全部で48編の中からよかったものを紹介。



冬

「バレンタイン・デビュー」

高校生の息子がバレンタインチョコがもらえないことに悩むお父さんの話。

「ネコはコタツで」

長年連れ添った夫を亡くした母を一人田舎に残している息子。同居を拒む母に、せめて正月にだけでも会いに行こうと田舎を訪れた息子は意外に元気な母の姿を見て驚きます。。

「じゅんちゃんの北斗七星」

障害があるじゅんちゃんと幼馴染の主人公。「あいぼー」と呼ばれ仲良しだったじゅんちゃんですが、小学校も高学年になると遠くの施設に移動させられます。



春

「さくら地蔵」

道端の地蔵には桜の季節でもないのに、桜の花びらに埋もれています。それは全国の長距離トラックの運転手が順番に花びらを持ち寄ってくれるからでした。

「ツバメ記念日」

子供が生まれたばかりの共働きの若い夫婦が直面した危機と葛藤。仕事と子育てに疲れ果てた母親が駅で出会った老夫婦と燕の親子が彼女の危機を救います。



夏

「その次の雨の日のために」

昼間は中学教師、夜間は15年間不登校生徒のための「虹の学園」で英語と個別相談にのるノブさん先生。しかし心を通わせてくれない子もいて、後輩の教師が体罰を振るってしまいます。

「ささのは さらさら」

父親を末期の肺ガンで亡くして3年。母親の再婚話に賛成できない高校1年生の女の子の思い。

「タカシ丸」

夏休みの宿題の工作のために末期ガンの父親が一時帰宅した。小学4年生の主人公は最後の父と一緒の作業・手作り模型の船作成にかかります。



冬

「ニババと三人の盗賊」

古い馬場文具店の店番はオニババ。新しい店に押されて店をたたむ話が出ています。そこに現れた3人組の小学生花火の万引き犯たち。彼らが花火を欲しがるには深くて悲しい理由があるのでした。

「コヅナ大ちゃん」

大ちゃんはちびっこ相撲大会で四連覇を続ける小学六年生。しかし好きな同級生の女の子にデブは嫌いと言われて、意気消沈し今年の大会出場を辞退します。

「よーい、どん！」

夫は降格のうえに子会社に出向で意気消沈しています。気晴らしに近くの小学校の運動会で負け国をついつい応援する夫は、だんだん運命を受け入れるようになります。