〈解説文は全て独自で書いております。無断使用はご遠慮下さい。〉

★1975年第4刷発行。カバー無し裸本です。
★表紙＝天の背側にカラーハゲ、表面に保管上の
　　　　スレ傷、角スレ有り。
★本体＝三方に経年ヤケ、シミ汚れ有り。本文紙面
　　　　に黄変有り。

★★上記以外、製本は堅牢で、ご愛読に支障はございません。然し乍ら、49年経過の古書、裸本です。経年に比して本文内は目立つシミ汚れ等なく、
経年比で良い状態と存じますが、経年感等気になる方はお避け下さい。

　オルコットの少女小説は、健全な道徳感に裏打ちされた、清らかな心の世界です。

　角川のマイディアストーリーに収録された諸作品も、素晴らしい訳ながら、更に古いこちらの岩崎書店版も捨て難い良さがあります。

　あっさりした美しいペン画のカットが入り、サイズ感も丁度少女の手に合う大きさ。何よりビビッドなロゼカラーの表紙は、当時の少女達の心を捉える洒落たものでした。

　主人公ローズは、早くに父母を亡くして、船乗りのアレック叔父の元に引き取られます。とは言え、富豪の一族なので、ローズにも大きな遺産があり、大人になるまで優しい叔父様が後見人となります。

　叔父様は正しい愛情でローズを導き、七人の従兄弟がまた男の子ばかりでローズは紅一点の人気者、叔母達の愛情も独り占め、と羨ましい環境です。

　ローズのために整えられた室内の様子の素晴らしさ。叔父様が航海で入手した、あらゆる珍しい宝石のアクセサリーや美しい品々が全てローズのものです。

　いやー、同じ孤児でも家なき娘のペリーヌとのこの違い！子供の頃は、裕福すぎるローズに、羨ましさを感じたものです。

　ローズは使用人の貧しい少女フェーブを助け、小間使い兼友人として遇し、自分の養女にしたいと言い出します。

　ローズには優しいところ、素直なところもあるけれど、特筆すべき人格者は実はフェーブなんです。捻くれる事なく、ローズとの立場の違いをしっかりと自覚して業務に励む姿は偉いなあ！と思うのです。

　ゆかしく、上品な訳文を懐かしくお読み頂ける方に是非！

　状態は、上記★書きと、画像よりご判断下さい。

古書にご理解のある方との、嬉しいご縁を心よりお待ち致しております。