プレスガラスの透明な皿5枚です。直径約13cm。

入っていた木箱には「玻璃膾皿弐拾人前、明治33年および34年購入」と墨書されています（箱の横にも墨書されています）。表書きの左側の文字は「椎一楼後藤氏」でしょうか、ちょっと判別不可能です。

ワラビ手の文様に細密な型を散りばめたとても美しいガラス皿です。

皿の表側には「１７」という数字が陽刻されており、製品の金型番号でしょう。

ガラス自体に割れや欠け等の傷はない様に見えますが、120年前の品なので、使用時の擦れはありそうです。

文様のS字は三好硝子製造所の製品に見られるものなので、同所の製品と思われます。同所は明治19年(1886年)に三好鹿蔵が大阪市浪速区で創業した工場で、家庭用ガラス食器の製造で有名でした。

元々は2回に分けて購入したようで、20枚入っていたはずですが、残っているのは5枚だけです。

木箱には、明治33年の大分県の新聞切れ端と、明治34年の東京の新聞切れ端も残っており、これらからも年号が特定できます。

骨董商の話では、大分県の役人の旧家からでた品だということです。

箱付きで、しかも年号が特定できる貴重な品です。

研究資料として、明治時代の年号の分かるガラス器を探していて、本品を購入しましたが、必要な情報は得られたので、売却することにしました。値段は、購入時の半額です。