2013年発行 全132ページ

状態：中古 概ね良好



■本書序文■

ロシアをはじめとする欧米の博物館・美術館には、江戸時代後期から昭和にかけて収集された

アイヌ民族資料が数多く収蔵されており、それらの多くは、各国の研究者や収集家が集めたものです。



ロシア連邦サンクトペテルブルグ市にあるロシア科学アカデミー

ピョートル大帝記念人類学民族学博物館(MAE、通称クンストカメラ)は、

アイヌの人たちの生活文化を語るうえで欠かせないアイヌ民族資料を多数収蔵しており、

これらの資料は、荻原眞子氏(千葉大学名誉教授)を代表とする

ロシアアイヌ資料調査団が1995年から1996年に実施した

「在ペテルブルグ博物館アイヌ資料の民族学的研究」により、その全容が明らかになりました。



本展では、この調査研究の成果を踏まえ、同博物館が所蔵するアイヌ民族資料の一端を借用して

展示・公開するものですが、その多くが収集年や収集地、収集者が判明していることと、

日本に現存しないものがあることなどから大変貴重な資料といえるのもので、

日本では初公開になります。



さらに、これまで日本側ではその所在が知られていなかった幕末の絵師・平沢屏山による

アイヌ絵3点もあわせてご紹介いたします。



これらの資料をとおして、北海道を中心に、サハリン(樺太)南部、

千島列島に広く居住していたアイヌの人たちの歴史と生活文化に触れていただくとともに、

各資料の収集者に焦点をあて、ロシアが見たアイヌ文化について展望いたします。