篆書体（てんしょたい）による刻印「篆刻」の底款がある中国宜興の紫砂茶壷（急須）です。

「篆刻」は比較的容易に判読でき、陶芸家「施小馬（シーシャォマー）」氏でした。蓋の裏にも「小」の刻印が見られます。（写真７、８枚目）

１９５４年生まれで、高級工藝美術大師の肩書を持つ紫砂界のシニアの陶芸家のようです。



茶壷の形状は持ち手部分を含めユニークで、あまり見かけない形状です。

製作時期は不明ですが、目立つ汚れはほとんどなく、欠けやひびなどの傷みもほとんど見られませんが、一ヶ所持ち手の注ぎ口側の付け根に僅かな間隙（写真６枚目）が見られます。この間隙のまわりに欠けやひびなどは見られないことから、製作段階で生じたものではないかと思われます。

なお、水漏れのないことは確認済です。



大きさは概寸で、高さ１２．５ｃｍ、横幅９．５ｃｍ、口径３．７ｃｍ、底径４．７ｃｍです。

重さは約１４０g、容量は約１００ｃｃです。



あまり見かけない形状で、濃い茶色と相まって面白い茶壷だと思います。コレクションに加えていただくだけでなく、この茶壷で煎茶などを味わっていただければ幸です。