鉄人28号の潮出版社発行、原作完全版の第1巻〜第15巻のセットです。すべて2005〜2006年の第1刷発行、帯付きの新品同様、美本です。潮出版社からこのシリーズは全24巻が発行されています。それにも関わらず、大の鉄人ファンである私が15巻までの購入に留めたことは理由があります。どんな優秀な作品でも同じですが、人気があり連載が長期化するとマンネリが避けられなくなります。編集者や読者の要望の方が優ってくるので、ウケ狙いのワンパータンになりやすいのです。商業的なベースの上で成りたっているからには、発行部数を伸ばしていくことが宿命になります。作者としても忸怩たる思いがありながらも仕方がないことかもしれません。しかしコアなファンは逆にウケ狙いからは離れていくことにもなります。皮肉なことに編集者の意図とは相反する結果になることがあります。その意味で私にとって、鉄人28号は1巻〜15巻までが全盛期です。恐竜ロボット、空飛ぶアカエイ、モンスター、バッカス、ブラックオックス、ギルバートが息つく間もなく画面いっぱいに暴れまくりました。その頃が鉄人28号が最も面白かった時期です。私は巨大アリや偽鉄人が出てくる時期には中学生になったので、子供から少しだけ大人になる時期でした。それで、"横山光輝さんもちょっと雑になったネ…"という感じを生意気にも持ちました。あくまで私見ですが、鉄人28号は1巻〜15巻まであれば、最も面白かったところを読むことができると思います。ストーリー的にも幾層にも組み立てが巧妙に仕組まれていて、ペンのタッチも著者が最も楽しんで描いていることが伝わってきます。ただし、私が15巻までで良しとすることは、著者を誹謗することを意図していません。人気があり、面白すぎる物語を継続して描いていくことは、不眠不休に近い仕事になると思います。それは古今東西、人気作家になるほど酷で身体を痛めつけることだろうと推察するからです。