「角川日本史辞典」　朝尾 直弘　定価: ￥ 3400

編集のことば
角川日本史辞典」（初版および第2版）は、歴史研究者・教育者が日常の研究や授業に用いて便利であるとともに、学生や歴史愛好者にも必要な知識を提供できる群典として、ながらく好評をいただいてきた。このたびの「角川新版日本史幹典」は、その方針を徹底させて、21世紀の歴史学のあり方を展望しつつ、さらにわかりやすい充実した辞典をめざした。1970年代末以降、歴史学は大きく変化しようとしている。日本史の領域においても、近代歴史学が導入されて以来といってよいほどの曲がり角にきている。
対象の広がり、テーマと問題意識の多様化。個々の研究の深まり、他の諸学問分野との交流など、様々な面にそれは表れている。現在は、21世紀の期待される歴史学に向かっての過渡期に立っているともいえるであろう。国家観の見直し、地域史への注目，女性・被差別民・少数民族・非農業民など、これまで傍流ないし周縁におかれてきた人びとの復権、都市と交易、大は国際関係から小は村や集団にいたる人と人との接触と結合の様相，古代から現代までの世界における列島社会の位置づけ、自然や環境と人間生活とのかかわり、他者理解へのまなざし。人びとの感覚や意識と主体的な意志・行動、これらすべてを歴史学の問題として受けとめ、解明することが迫られている。それに伴って、考古学・文学・美術史・建築史・民俗学など、多くのジャンルとの学際的な協力が急速に進んだ。いうまでもなく、これらの学問的関心は、20世紀末の地球上の社会の変化と人類の経験に即して、必然的にもたらされたものである。いまや人びとの歴史学に対する期待は、従来とは質を異にするほど増大し、多様化をとげた。できるかぎりそれにこたえたいとの思いが、わたくしたちの「角川 新版日本史群典」の編集作業をささえてきた。項目数は旧版を大幅にうわまわる1万6000項目に達した。この種の辞典としては最大の規模であり、専門研究者にも十分役だちうると思う。　　《中略》

古物商許可証
第 621272201772号 交付平成22年10月18日 大阪府公安委員会