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キッド

序盤から死者がどんどん出るスピーディーな展開。

主人公は、香港の下町で中古カメラ店を営みながら、ボディーガードを副業としている城戸護。城戸は自衛隊の精鋭を経て傭兵として紛争地を転々としていたプロフェッショナルです。元上司の紹介で上海の商社マン・王作民のボディーガードとして福岡に来ました。しかし王の会社は北朝鮮への密輸を手がけているようで、ネタを追う週刊誌記者、更に警察側は捜査１課と公安が別々に王と城戸を捕獲しようとしていました。王が射殺され、城戸は王殺しの嫌疑をかけられて警察・公安から追われる羽目になるのです。ここから城戸の潜伏逃亡劇が繰り広げられますが、街中の監視カメラや、ネット、電話の情報を一手に解析し、顔認証システムで追尾する監視社会で城戸はどうやって反撃するのか？

更に城戸の周囲で次々に関係者が射殺されていき、謎のスナイパーと城戸との因縁、公安の内部に巣くう腐敗の構造を含めて物語は複雑さを増していきます。



トップリーグ

トップリーグとは、政治部記者たちの中でも総理大臣、官房長官ら与党幹部に深く食い込むエリートの記者たちのこと。主人公の大和新聞記者の松岡直樹は、なぜか、阪義家官房長官に気に入られ、個別に独自の情報を与えられます。これを利用し戸惑いながらも政治記者として確実に地保を固めていく松岡。

　一方、週刊誌記者・酒井裕治は、埋め立て地に捨てられていた一億五千万円の真相を追っていましたが、昭和五十年代に起きた疑獄事件“クラスター事件”に関連したものであるとあたりをつけます。一大スクープにはやる酒井ですが、証拠を得るための取材相手が殺害され、どうやら帆の事件の闇は深そうな様相を呈してきます。

かつてトップリーグにいたがその地位を捨てた酒井と、よく分からないうちにトップリーグ入りした松岡。立場が入れ替わったふたりの記者が一大疑獄事件であるクラスター事件を通じて繋がります。

描かれるのは、マスゴミと揶揄されがちな記者たち、とくに政治部記者の真摯な姿。政治部記者正義と政治家の利害をはさんだ対立そして協調の実態がリアルに描かれます。