ポーランド出身ブラックメタル・バンドBehemothが、1999年に出した4thアルバムです。前作で打ち出したデスとブラックの融合路線をさらに追及した内容で、彼らは本作を以って、現在に至る音楽性を確立したと言えるでしょう。

ネルガルのヴォーカルはまさに野獣のような獰猛さ。楽曲も、デスメタルの突進力とブラックメタルの神秘性を併せ持つ、どす黒い暴風雨のような禍々しさ。邪悪なパワーに溢れており、なおかつ非常に独自性の高いものになっています。

#1 "Decade of Therion" は開始5秒の「АПО ПАΝΤΟΣ ΚΑΚΟΔΑΙΜΟΝΟΣ!!」という咆哮がかっこよすぎ。終始ブラストビートで突進する、とんでもなくブルータリティの高い曲です。この「アノ　ナトス　カコ　デモノス」というギリシャ語のフレーズは曲の中で何度も登場するので、タイミングをばっちり予習してライヴに備えましょう。

1曲目から間をおかずに始まる#2 "Lam" も破壊力抜群の壮絶ナンバー。3連符のブラストが重戦車の如く、障害物を総て薙ぎ払う勢いで突進してきます。

ラストの#8 "Chant for Eschaton 2000" は、前の曲からそのまま続く構成。おそらくBehemoth史上最もキャッチーな曲ではないでしょうか。ヴォーカル自体は咆哮とも詠唱ともつかない、タイトル通り祈りを捧げているような雰囲気ですが、曲そのものはポップと言ってもいいぐらい。ライヴでも大抵トリに演奏される人気の高い曲です。

Behemothの新たな方向性が決定づけられた、記念碑的な作品です。まあ傑作を連発する彼らの作品群の中では地味な部類に属するかもしれませんが、それでも凄まじいアルバムであることに違いはありません。

デジパック輸入盤。
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