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片眼の猿―One-eyed monkeys

主人公・三梨は探偵で、盗聴が得意なことから特に産業スパイ方面で活躍するヒトで、依頼のあった企業を内偵（盗聴）中に殺人が発生する場面を聞いちゃうのです。誰がなぜどうやって殺人を犯したのかというのがミステリーの主題になるのが一般的ですが、本書の主題は全く違います。数多く出てくる登場人物、そして主人公ですら「実は何者なんだ！！！」というところが否応なく興味のポイントにさせられてしまうのです。

　

ストーリーもそんなに凝っていないんですよ。三梨が新しく雇った探偵助手（サングラスの美女）の過去と、目下の内偵中に発生した殺人の関係は・・・？これ だけです。読者を徹底的に騙す手口は、卓越しています。陳腐な「叙述モノ」「一人称モノ」とは一線を画した切れ味に、私も気もよく騙されました。上手 く嵌められたなあ。って言う感じ。辛口のビッテンが損のない一冊とお勧めできる一冊です。





月の恋人―Moon Lovers

新興家具店レゴリス社長・葉月蓮介、派遣社員・椋森弥生、上海の家具屋をクビになって無一文の美貌のリュウ・シュウメイの、それぞれの迷いや不安、悩みや生き方に焦点を当てた恋愛小説。

　蓮介は、上海で中国人の女性、シュウメイと出会い、彼女を自社のCMモデルに抜擢します。同時期に上海に旅にきていた弥生はたまたま蓮介と出会います。蓮介は、弥生とのかかわりのなかで、冷酷だった自分から、人間らしさを取り戻していく。そんなストーリー。これにシュウメイと弥生の関係が恋のさや当てみたいになり、蓮介の部下に男も絡んで、いかにも三角・四角関係が繰り広げられます。蓮介はじめ、弥生もシュウメイも、見栄を張るためにかなり嘘をつきます。この嘘同士がかみ合って・・