詩人として、「東京行進曲」「青い山脈」「同期の桜」「蘇州夜曲」「王将」などの流行歌の作詞家として、またあまり知られていないが、早稲田大学で教鞭をとるなどしたをフランス文学者として、戦前、戦後を生きた西条八十の評伝二冊です。



・吉川潮『流行歌（はやりうた）　西条八十物語』は、父親が西条八十と親交があったという吉川潮氏による、小説風の評伝で、西条八十の流行歌作家として、詩人としての生涯を、激動の昭和史、戦前・戦後の歌謡史とともに描き出し、数々のヒット曲にまつわるエピソードなどをつづった、第8回大衆文学研究賞を受賞した傑作評伝小説です。



・筒井清忠『西条八十』は、吉川氏の本とはまた別の観点から、歴史社会学者である筒井氏が、単なる流行歌作家ではない、アカデミズムと通俗的な世界の両方で大きな功績をあげた稀有の人物として西条八十を取り上げた、本格的な評伝で、大衆文化とエリート文化の関係、大衆社会とメディアなど、筒井氏がこれまで中心としてきたテーマを、西条八十という切り口から照射した研究書ともいえる評伝です。こちらも、読売文学賞、山本七平特別賞、児童文学学会特別賞などを受賞した傑作評伝です。



コンディションは、軽い経年のスレなどカバー、帯にありますが、特に問題ないきれいな本です。