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風の軍師

戦乱の時代に花開いたキリシタン信仰が宗主者の意向で弾圧され消え失せていく過程を、自らがキリシタン大名であった如水の半生を通じて描きます。

明智光秀をそそのかし信長を殺すように仕向けたのが如水であり、その後天下を取った秀吉がキリシタンを虐殺するのに業を煮やし主君・秀吉を謀殺しようと計画を練るのも如水。ついに石田三成の秀吉への恐怖心を利用して秀吉の謀殺に成功するまでを前半で描きます。

その後の関ヶ原でも如水は、豊臣と徳川をぶつけてお互いの戦力を減殺させ、漁夫の利でキリストの国を建国しようとたくらむのです。結局はキリスト教は家康によって禁じられるのですが、その終焉の象徴に細川ガラシャの死を絡めるなど芸の細か所も見せてくれます。



星火瞬く

日本が開国に向かって胎動していたころの様子を、一人の外国人の目から描かれている。その人はアレキサンダー・フォン・シーボルト。シーボルト事件で追放された父親のフィリップ・フランツ・シーボルトの息子で13歳のアレキサンダー少年は、63歳になる父に連れられて、来日します。そして横浜でロシア人革命家バクーニンと出会うのでした。ロシア皇帝は彼をシベリアに流刑にしたのですが、脱走したバクーニンは日本を経てアメリカへそしてヨーロッパへと返り咲き革命を扇動するつもりです。

さてこの頃ロシア軍艦ポサドニック号は対馬に投錨・上陸しその強力な海軍力で恫喝して幕府に対馬租借を申し入れます。折も折、ロシアと対立関係にあったイギリスの領事館が水戸浪人たちによって襲撃されるという事件が起きます。この両事件に悩まされる幕閣たち勝海舟と小栗忠順には上手い手がありません。そうこうするうちに事件の裏でバクーニンが手を引いているという情報が入ります。革命家であるバクーニンはロシアのスパイでもあった？

結局幕府からも追われるようになったバクーニンはアメリカに向かいますが、日本滞在の約3年の間に、清河八郎、高杉晋作、勝海舟らの心に革命の火をつけてまわりその火は日本における革命である大政奉還に繋がったのです。