ブラームス

①チェロ・ソナタ第1番ホ短調 op.38

②チェロ・ソナタ第2番ヘ長調 op.99



ジャクリーヌ・デュ・プレ（チェロ）

ダニエル・バレンボイム（ピアノ）

録音：1967、68年　ステレオ（セッション）



作品を大きく把握し、そこに自身の感情を移入していくという彼女の特質が如実に現れた演奏です。第１番における寂しい叙情と内面のやるせない心情を浮かび上がらせた第１楽章、第２番での強烈なパッションに満ちた第１楽章、孤独感を湛えた第２楽章など、感情の振幅の大きさによる激しさと内面の沈潜が見事な対比を示しています。2017年発行の名曲名盤500では第2位に選定されています。



悲劇のチェリストであるデュ・プレが、夫君であるバレンボイムとともにスタジオ録音を行ったブラームスのチェロ・ソナタがおさめられている。いずれも、デュ・プレならではの圧倒的な超名演だ。デュ・プレは、得意のエルガーのチェロ協奏曲やドヴォルザークのチェロ協奏曲を演奏する時のみならず、どのような楽曲の演奏に臨むに際しても全力投球で、体当たりとも言うべき渾身の演奏を行ったが、この演奏における渾身の気迫溢れる演奏の力強さについても、とても女流チェリストなどとは思えないような圧巻の凄まじさである。数年後には多発性硬化症という不治の難病を患い、二度とチェロを弾くことがかなわなくなるが、このような壮絶とも言うべき凄みのあるチェロ演奏は、あたかも自らをこれから襲うことになる悲劇的な運命を予見しているかのような、何かに取り付かれたような情念や慟哭のようなものさえ感じさせる。圧倒的な生命力に満ち溢れるとともに、女流離れした強靭な力感に満ち、そして雄渾なスケールを伴った圧倒的な豪演は、聴き手の肺腑を打つのに十分である。それでいて、いかにもブラームスならではの人生の諦観を思わせるような寂寥感、深遠な抒情などが込められていると言える。奥深い情感がこもった美しさの極みとも言える演奏は、これからデュ・プレを襲うことになる悲劇が重ね合わせになり、涙なしには聴くことができないほどである。



輸入盤【廃盤】盤面傷無し　17



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