●製作年:1890-1900年頃
●材質:硬質磁器
●1級
●サイズ
カップ
W:11.5cm
H:7.5cm
ソーサー
W:17cm
H:4,5cm

★セルヴィスではなく１点物の特注商品、納期は通常のセピアより1,5倍程要する


驚いてしまうほどの大きいカップ＆ソーサー。ジャンボタッセ。両手で持つぐらいがちょうどいい大きさとなっており、このサイズは完全な特注商品として注文されました。1級として完成させるまでには非常に高度な技術が求められたことでしょう。

ボタン剣後期の黄金時代に製作されたセピアの花シリーズ。以前も何度かご覧いただいたシリーズ。落ち着いた色合いでピンクやイエローを差し色にしており、大変難易度が高く、技術が求められます。幾度となく行う焼成にも耐えなければなりません。そして葉を金彩に差し替えるという贅沢極まりなく、光が当たった際に一瞬映る葉脈まで表現する極地。さりげない箇所にマイセンのセンスが光る見事な逸品です。花々の陰影表現も本当にこの時期にしかできなかった技術で、相も変わらず感心させられます。この大きさでもスケールは変わることなく、そのまま拡大される描画はもはや芸術作品の域に達していると思います。

本来であれば18世紀後期～19世紀初頭の経営が厳しい時期に誕生したモチーフであり、儚い様相は時代を反映させたようでした。それから紆余曲折あって苦難な時代を乗り越えて、遂にこの時代に行きつきます。技術が最高に達したことにより、オリジナル時代のものよりも磨きが掛かって昇華したように思います。より力強く生まれ変わった印象です。

金彩の擦れや傷も比較的抑えられており、大変美しい状態です。コレクションとしてもおそらく所有している方は少ないでしょう。キャビネットに添えることで華やかさは数倍となり格式も上がります。使用するのももちろん良いですが、コレクターズアイテムとしての地位は間違いないです。

現代ではもう逆立ちしてもこのような儚くも優しい描画は表現できません。貴重な逸品をこの機会に是非ご検討ください。