いずれも書店で新刊で購入したものです。写真を見ていただければ解りますが、暗所に保管していたためやけ等の劣化はありません。喫煙者、ペットはいません。出版日のページを掲載しました、全て初版です。これを逃すと二度と出会えない一品です。

　この本『AKIRA』を初めて手に取った時に感じた衝撃を今でも覚えています。いきなり大友克洋の世界に飲み込まれ、息をするのも忘れて読んでいました。もともとは週刊誌なので、その場合は次回に続くという休憩がありましたが、この本の場合はそれがなく、気力が続く限り読み込むという難行苦行になりました。ページを繰る手が止まらないのです。

　可視化できないはずの超能力を絵で表現してしまうところや、作中で鉄雄が機械を取り込み、硬い機械を生き物のようにして動き始める描写に息をするのも忘れて没入したのを覚えています。

　鉄雄を含めた能力者達が、超絶の能力を振るいながら、決して幸福でない様子を見て、「大きな力は大切なものを犠牲にしないと得られないんだな〜」と柄にもなく哲学的な事を考えていたりもしました。

　当時私は23才、学校を卒業して働き始めた頃で、そんな若造が唯の漫画ではない漫画に強烈に引き込まれながら、この本が描き出す意味を拙い人生経験の中で読み取ろうと悪戦苦闘していました。それから40年経ち今読んでも、作者の構想を読み切れません、それだけ内容が広く深い作品です。

　この漫画は、日本漫画史の中で欠かすことのできない1980年代を代表する漫画とされ、SFのジャンルだけでなく、漫画の分野全体に影響を及ぼしています。1988年に大友自身の手により劇場アニメが制作されると、アニメ業界にも大きなインパクトを与えました。

　数多くの日本の漫画が世界中に翻訳されるきっかけを作った作品で、それまで子供向けとされていた日本の漫画やアニメの評価を一気に引き上げ、海外のオタク第一世代を生み出した作品のひとつでもあります。1980年代後半に原作漫画とアニメの両方が海外に輸出されると、米国やイギリスを中心に世界のクリエイターたちに衝撃を与え、高く評価されました。

　私も高齢になり、大切にしてきたこの本をこのまま死蔵して散逸させてしまうよりは、どなたか大切に読んで頂ける方にお渡したいと思い出品した次第です。