ハープによるゴルトベルク変奏曲
カトリン・フィンチ

美しいアリアと30の変奏から成る『ゴルトベルク変奏曲』は、元来は2段鍵盤付きチェンバロのために書かれたものですが、その汎楽器的性格ゆえか、これまでにもさまざまな楽器による演奏がおこなわれてきました。基本のチェンバロ、ピアノのほか、オルガン、アコーディオン、ギター、ピアノ・デュオ、サクソフォン、金管アンサンブル、弦楽三重奏、弦楽オーケストラ、室内オーケストラ、ピアノ・デュオ、八重奏から、弦楽三重奏プラス電子音や、クラリネットのインプロヴィゼーションまで、その種類はかなりの数に達します。
今回登場するのは、ハープによる演奏というユニークなもので、イギリスのハーピストで、プリンス・オブ・ウェールズのオフィシャル・ハーピストという称号も持つカトリン・フィンチが、自身のアレンジによってこの大作に取り組んでいます。
フィンチはこの作品をハープで演奏するに当たって、楽譜の研究はもちろん、グールドなど何人かの演奏家たちによるアプローチも参照しつつ、ハープでの最適な指使いや、場合によって生じるハープならではの音響的な問題を解決するために、時間をかけてじっくりと作品に取り組んだということです。
フィンチはまた、自身のハープのレパートリーをベートーヴェンのピアノ・ソナタやモーツァルトのピアノ協奏曲にまで拡大することを夢見ており、実際、すでにK.414はハープにアレンジすることに成功しているのだとか。
果敢なチャレンジ精神を持つハーピスト、カトリン・フィンチの編曲と演奏に期待の持てる『ゴルトベルク変奏曲』の登場です。

【収録情報】
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ[1685-1750]
・ゴルトベルク変奏曲 BWV.988
カトリン・フィンチ（ハープ）

録音：2008年3月（デジタル）