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アンダー・ユア・ベッド

三井直人は誰からも認められず、世間から忘れられた存在だと自認しています。当然陰キャで何度もバイトを首になり、今は平塚で観賞魚を売る商売を細々とやっています。彼が平塚で商売を始めた理由は、学生時代に一度だけ喫茶店でお茶を飲み話をした女性・千尋が結婚して平塚に住んでいたからです。。しかし9年ぶりに見つけると美しかった千尋は老け込んで若いころの彼女の影も形もありませんでした。三井は彼女の変貌ぶりの原因を知りたくて、望遠レンズで彼女の家を覗き、合いかぎを作って盗聴器をセットし、時々忍び込んでベッドやソファーの上で隠れているのです。ここまでくるとストーカーというよりは変質者ですが、そのおかげで三井は千尋が激しいＤＶを受けていたことを知るのです。

　そんな日々が２年ほど過ぎ、千尋はとうとう辛抱しかねて家出を決意します。これに激怒した夫は彼女を連れ戻し、半殺しの目に合わせます。盗聴されていることを感づいていた千尋は「助けて、夫を殺して」と訴えます。それを聞いた三井はスタンガンを握りしめ、家に向かいます。そしてこの後に訪れるカタストロフィー。人身売買される娼婦たちに生きるとは何かを語らせた「女奴隷は夢を見ない　に匹敵する名著です。



60秒の煉獄

不思議な少女が与える1回だけ60秒時間を止めることができる能力を得た老若男女がとった行動はという、ファンタジーSFの趣向ですが、窓際軸のサラリーマン、自殺志願の青年、幸せな主婦、死期の迫った末期がんの男、人を蹴落として出世して今は隠遁している男、引きこもりの青年、育児ノイローゼで赤ちゃんを殺してしまった母親など、様々な環境の10人の男女がこの特殊能力を使います。その使い方が本書の面白さ。我々凡人が考える窃盗、強姦、殺人なども登場しますが、思わず人助けのために時間を止めた人や、離婚した夫の元で暮らす娘に会いたい母親の話など意外な展開も見られます。

　彼らの仕業で大量無差別殺人事件が３件起きますが、後半この捜査をしている警察官が登場。不可解な事件の真相回目に迫るところまで行くのですが・・・