天使の美術と物語 カラー版

利倉隆

美術出版社 1999



遥か中世から20世紀初頭にかけての絵画史の中から、美しく印象的な天使の図像340点をカラー図版で再現。あわせて彼らにまつわる豊富な物語や数奇な伝承を紹介する。



目次

I　神の御使い

　天使とはなにか

　天使のはたらき

　かたちの起源と変容

　孤独な魂の鳥　近代絵画の天使

II　選ばれしもの

　アブラハムの物語

　ロトの物語、あるいはソドム

　ヤコブと天使

　トビアスと旅の道連れ　

III　天使のいるキリスト伝

　お告げの天使

　祝福の天使

　嘆きの天使

IV　聖人と天使

　ペテロの解放

　マタイと天使

　アッシジの熾天使

　聖人伝と天使たち

V　黙示録の天使

　ある黙示録的光景

　ヨハネの黙示録

　神秘の祭壇画

VI　天上の世界

　天国と楽園

　神曲　天国篇

　イスラムの天使と天国

収録画家別索引



多くの方が、堂々たる姿のガブリエルやミカエルは大天使、画面上を愛くるしい姿で所狭しと飛び回るプットー達は小天使…と理解している事と思うが、それでは両者は同じ「天使」なのか？と問われると、何となく漠然としか答えられないのではなかろうか。

そんな素朴な疑問に対し、本書は何故このような現象が起こったのか、天使の描写の変遷と展開について教えてくれる。

学術的な見解から雑学に近い事までを含み、幅広い視点で取り上げているので内容が面白いのは勿論の事、西洋美術と天使とは切り離せない関係にある事から、取り分け美術を専攻する方は是非とも手に入れておきたい良書である。

また、天使と言うと、とかく西洋美術にのみ焦点が当てられがちであるが、本書はイスラム文化における天使にも言及しており、こうした意味に於いては非常に貴重な著書とも言えよう。（レビューより）



カラー図版多数



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