ブルックナー

交響曲第7番ホ長調



指揮：ニコラウス・アーノンクール

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

録音：1999年



重厚長大なブルックナー像を覆したコンセルトヘボウ管との3番・4番に続く録音で、今回はウィーン・フィルとのライヴ録音となっています。全曲を通じた、尋常ならざる静謐さ、繊細さが際立ち、「いかにもブルックナー」風の重厚な高揚感は抑制されており、ウィーンフィルも普段より緊張感と透明感を高めた音響で指揮者の要求に応えています。その結果得られた「ブルックナー」は、みずみずしく柔らかな陽光に照らされ、薫香に満ちた空気感、素朴さを失わないが優雅＆優美、そしてスリム・・・という「新しいブルックナー」的特徴が顕著なものとなっています。アーノンクールが指揮しても、ウィーン・フィルの音色そのものの魅力は失われていないことも再確認できます。個性的なブルックナーですが、異端というほどではなく、ファースト・チョイスではないかもしれませんが、2番手3番手として手元に置く価値は十分にある演奏です。



音楽評論家：福島章恭氏

「それにしても、これほど大言壮語しないブルックナーは珍しい。風が吹けばかき消されてしまうほどの儚さである。徒なヴィブラートを戒める弦の奏法により、響きは至純を極め、ブルックナーの無垢な魂を伝えてくれる。ここに圧倒的な音圧はない。微細なニュアンスやバランス感覚がこの演奏の命であり、それ故に再生の環境によって評価が左右される可能性もある。弦の音圧がことさらに高いわけではないので、この魅力は聴き取りにくいかもしれない。全曲のどこをとっても美しいが、第1楽章のしみじみと懐かしい歌、絶えず意味深い低音の進行など堪えられない。第2楽章のテンポ設定の巧みさには目を開かれるが、天に登りつめたような壮大なクライマックスで、シンバルとトライアングルのない意味が、これほど分かる演奏も珍しい。ワーグナーの死を予感して書かれたコーダの葬送行進曲におけるワーグナー・チューバの響きは痛切であり、巨匠の死を悼むブルックナーの魂の叫びが聴こえてくるようだ。」（福島章恭著「交響曲CD 絶対の名盤」より）



輸入盤【廃盤】盤面傷無し　13



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