深夜番組として放映され、若者を中心に熱狂的ファンを生みだした本作。そこに繰り広げられる短編映像は、特にアートや音楽に興味をもっている人なら一瞬にしてそのワールドに引きずり込まれるほど、ポップで奇妙なセンスが貫かれており、「シュールでブラックな笑い」などという形容を突き抜ける勢いで、趣味のいい悪趣味な映像世界が展開されていく。監督は、現代美術のフィールドで活躍してきた石橋義正。



特に話題となったのが「フーコン・ファミリー」である。この作品は日本に住むアメリカ人一家をマネキンを使った静止画像で映像化しており、バラバラ死体になろうが、人を殺めようが常に笑顔を絶やさない家族という、とことんブラックな世界が展開される。（井上新八）