ある精神科医の回想

ハンス・ビュルガー・プリンツ (著)　　福田 哲雄 (訳)



上巻　四六判　２２７頁　佑学社　1975年初版

下巻　四六判　２３０頁　佑学社　1975年初版　　いずれも絶版。



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Bürger-Prinz, Hans, 1897-1976

当時のドイツ精神医学会の長老である著者が、その生涯を捧げた「狂

気との闘い」を回想した問題作である。豊富な臨床経験と幅広い学識を活かして、社会から隔絶され、無視されている精神病にメスを入れ、医療における危険性、過失、欠陥を冷静に見つめ、常に危険をはらむ精神医学の真相を明らかにしている。

　精神鑑定の最高権威として数々の「事件」を担当した著者が、重厚な渋み溢れる文体で描き出す人間像……ヒットラー、殺人犯ワーナー、マグヮイヤ、ギーゼ……。

　今日なお、人間の謎として波紋を広げつつある「狂気」の真相に鋭く迫る老医の洞察力の重厚さが随所に漲っている。同時に、医者として、人間としての限界と可能性とを問い直し、宿命とも言うべき医者の哀歓を静かに謳い上げる。

　第一次、第二次世界大戦で激動するドイツの歴史を背景に据え、狂気の素顔をありのままに記録した本書は、そのままで、今世紀の精神医学史とも呼べるものである。

　本書の一部が、ドイツ最大の新聞の一つ『世界』紙に連載された当時、大きな感動と反響を呼んだ。出版と同時にドイツ語園でベストセラーを続けている本書は、専門家をはじめ、万人必読の書とも言うべき無類の好著である。



上下巻とも書き込みはありません。ビニールカバーがかかっています。