著者プロフィール

三重県出身。複雑な生い立ち（※著書『ひとわれを非情の作家と呼ぶ』で経緯を説明している。）の原体験が、丹羽をして人間の業を見つめる作家となし、その救いを浄土真宗に求める結果となった。私小説風作品や宗教的作品、マダム物をはじめとする風俗小説、戦争物などを独自のリアリズムで旺盛に執筆し、多数の読者と高い評価を得た。昭和を代表する作家の一人である。また、文壇の大御所的存在であり、各種文学賞の選考委員や、日本文芸家協会会長・理事長などを歴任したほか、「文学者」を主宰して後進の育成にも尽力した。中村光夫と風俗小説論争を展開したことでも知られる。

「幼くして生母と離別し、母への思慕と追憶は、作家・丹羽文雄の原点ともなった。処女作「秋」から出世作「鮎」、後年の「妻」に至る。

「有名な仏教学者・田能村清州の息子・耕は、親戚の娘・衿子と秘かに好意をいだき合っていたのだが、耕がアメリカ出張から帰ると、あろうことか彼女は父と結ばれていた。絶望した彼は、愛情のない結婚をし、私生活は乱れた。ところが、清州の急死から、もう一度、衿子との接触が始まって……。」 Google Books



毎日新聞社・昭和３５年９月初版発行の丹羽文雄「顔」です。挿画は竹谷富士雄です。本作品は昭和４５年に改装版が出ています。経年の割にはヤケは少なく、シミや書き込み、蔵書印などもありません。

６４年前の古書であることをご理解の上、購入の検討をお願いいたします。



※丹羽文雄の以下の作品もしゅっぴんしています。

仏にひかれて　二刷　函帯

献身

白い椅子

妻

晩秋

干潟

ひと我を非情お作家と呼ぶ　

樹海　上下

報道班員の手記