「ルコック探偵」
　訳者: 松村 喜雄

　居酒屋《ポァヴリエール》で、恐ろしい悲鳴とともに三発の銃声が響き渡った。
　それが不思議な殺人事件の発端だった。
　パリ警視庁の刑事ルコックの捜査によって浮かんだのは、ナポレオン時代にさかのぼる貴族たちの流血の歴史だったのだが……
　史上初めての長編推理小説といわれるガボリオの傑作。
　
　発表は、1869年（実に明治2年ですぞ♪）
　第一章では、警官“ルコック”のじみな、執拗(しつよう)な証拠集めと推理が続けられていきます♪
　第二章では（個人的な意見ですが）いささか間伸びしすぎ〜ではと思うところもあるのですが、この事件の背景を遡るこの第二章が無ければこの小説は“味わいもコクも無い”凡作の誹りを受けかねかったのではとも♪
　二章の構成は“倒叙”探偵ものの“ハシリ”です♪
　蛇足ながら近年の警察小説の“始祖”と言われているのにも頓首されるのでは♪

　解説の中で訳者: 松村 喜雄氏
　〈中略〉英訳されたルコック探偵もの五冊をコナン・ドイルも愛読♪
　それをきっかけにドイルがシャーロック・ホームズを書くきっかけになった・・♪
　また、ミステリとは関係ないが、文豪トルストイがルコック探偵の愛読者であった。〈中略〉
　そのベストセラーぶりは想像以上のものであったらしい。〈中略〉
　ポー（エドガー・アラン）のオーギュスト・デュパンが活躍する探偵小説やシャーロック・ホームズ譚が時代を乗越えて色褪せぬばかりか、今でも全世界で愛読されていると同様に、ガボリオのルコック探偵もまた、フランスでは現在でも広汎な読者層に読みつがれている。
　〈中略〉何よりも、ストーリイ・テラーとしての面白さで群を抜いてあるのである。
　新聞小説興隆の百年の中で最大の傑作といわれるユゴーの「レ・ミゼラブル」、大デュマの「モンテ・クリスト伯爵」同様、若い読者に本篇を一読することをおすすめする・・

　まったく“古さ”を感じさせず、今なお、再読に耐えうる作品は稀有だと思いますが・・♪

　大小織り交ぜての栞（しおり）折りが若干あります♪
　が、古書レベルとしての本の状態は概ね良好かと♪