ダルベールのバッハ編曲は何曲か楽譜を持っていますが、決して易しくはないものの、２本の腕と普通サイズの手の大きさで弾けるように工夫して創られています。一番有名なのはパッサカリアでしょう。ナウモフやロジェ＝デュカス編のようにフーガ部分がないわけでもなく、技巧的に穏当で、一番弾かれるパッサカリアのピアノ編というのがよくわかります。ただ、ダルベールの編曲は概して言うとブゾーニの一連の編曲ほどにピアノ書法の開拓的工夫があるかというとそうではなく、直球ど真ん中勝負の編曲といった感じですね。

　演奏はピアーズ・レーンです。この人はかつてのポンティのように「珍曲注文なんでもお引き受け型」の量産ピアニストのようなイメージがありますが、演奏に荒いところはなく、決して易しくはないダルベールの編曲を通してバッハの音楽を誠実にしっとりと奏でてします。これはこれで大したもんだと思います。

Amazonには中古の出品がなく、新品が2884円で出ています。ですのでそれよりはお安くしておきます。