バルトーク

　イェフディ・メニューイン（ヴァイオリン）

①ヴァイオリン協奏曲第2番 (1938)

　指揮：ヴィルヘルム・フルトヴェングラー

　フィルハーモニア管弦楽団

　録音：1953年9月

②バルトーク:無伴奏ソナタ(1947)

　録音：1947年6月



①は、フルトヴェングラーが唯一録音したバルトーク作品。独奏はメニューインがつとめ、ふたりの気迫あふれる凄演は聴く者を圧倒する記念碑的録音です。彼は1943年にソナタの第1番を演奏する際、バルトークの元を訪れ助言を乞いました。しかし演奏会を聴いたバルトークは「素晴らしい！私の助言など必要ない」と大賛辞を贈り、以降、病魔と闘いながらもメニューインのために幾つかの作品を書きました。この曲は、そんなバルトークの熱意に触発されたかのような演奏で、現在でもこれを超えるものはないほどの名演。20世紀を代表する演奏と言っても過言ではありません。この演奏が、この曲の最高の演奏の一つである事は、誰の耳にも明らか。メニューインが奏でる第一楽章のカデンツァは、第二楽章の子守唄の様な物悲しい旋律は、何と素晴らしい事か。そして、フルトヴェングラーの、夜の海を思はせる第一楽章の指揮は、第三楽章のフィナーレの熱情は、何と素晴らしい事か。



②バルトークとバッハの無伴奏曲において、メニューインは並の奏者との比較を絶するほどの仕事をした。この奇跡的な二つの偉業だけを取っても演奏史に名をとどめるべきヴァイオリニストです。三度録音したバルトークの無伴奏ソナタの初録音にあたるのが当CDの演奏で、同曲の世界初録音となりました。これを聴くと、バルトークがいかに気骨ある教養の深い作家だったか、メニューインがいかに曲の偉大さを理解し、献身的態度で楽器を奏でる人であったかがわかります。精神力と包容力、また使用楽器の品質から言っても、エネスコのバッハ演奏に匹敵する至芸でしょう。腹の底から太い唸り声や繊細な美音を出すメニューインのバルトークに、一度で良いから耳を傾けてみてほしい。ヴァイオリンという楽器の無限の可能性と裸の美質とが、骨身に沁みるほど伝わってくることと思います。



輸入盤【廃盤】盤面傷無し　14



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