マルタ・アルゲリッチ（ピアノ）



①チャイコフスキー：ピアノ協奏曲第1番変ロ短調 op.23

　指揮：シャルル・デュトワ

　ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

　録音：1970年

②プロコフィエフ：ピアノ協奏曲第3番

　指揮：クラウディオ・アバド

　ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

　録音：1967年



1970年、若き日のアルゲリッチによるチャイコフスキーのピアノ協奏曲は同曲の最初の録音。当時結婚していたデュトワとの共演。その後コンドラシン、アバドらと再録音を行っていますが、後の自由奔放な演奏とはまた一味違った切れ味と大胆さが魅力の一枚です。セッション録音としては同曲中の代表盤として君臨すべきほどの名演です。なんとも豪胆な演奏で、イントロの強烈さときらびやかなアルペジオは背筋が凍るほどのインパクト。アルゲリッチの一種若気のいたりてきな演奏が楽しめます。マイクがピアノに近く、アルゲリッチの鮮やかで力強いタッチがスピーカーから飛び出してくるよう。まことに鳴りっぷりが良く、センチな曲想と相まって大変聴き応えがある。デュトワの伴奏も極めて味わい深い。オケはロイヤルフィルですが、昔風の洗練され切っていない、輪郭のハッキリした音が逆に魅力的で、特に木管群のセンスは圧巻。



プロコフィエフは数々のレコード賞を受賞して、アルゲリッチの凄みをあらためて世界が認めた名盤です。2017年刊行の名曲名盤500では第1位に選定されています。録音から50年が経過してもなおさまざまな演奏の中でもトップの座に君臨する超名演。スタジオ録音ですが、灼熱のように燃え上がる圧倒的な豪演を展開。卓越した技量は超絶的でもあり、とても人間業とは思えないような強靭な打鍵から繊細な抒情に至るまで表現の幅は桁外れに広く、変幻自在のテンポ設定や猛烈なアッチェレランドを駆使するなど、自由奔放で即興的とも言うべき圧倒的なピアニズムを展開。どれだけ自由奔放な演奏であっても、いささかも格調の高さを失うことがないのが凄い。大胆な表現でも芸術性を損なわないのが天才たる証左。



国内盤、帯無し、盤面傷無し　11

ライナー(解説書)内側ページしみあり



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