進化論の5つの謎 :
いかにして人間になるか
船木 亨
ちくまプリマー新書
定価: ￥ 780+税

「進化する」とは、いったいどういうことか？そもそも最初の細胞は、物質からどうやって発生したのか？多細胞生物はどのように出現したのか？大分類はどのように生じたのか？意識とは？理性とは？５つの謎に挑み、いかに生きるかを考える。

序章　おとなになること、
　　　進化すること
第１章　進化論は科学ではない？
第２章　進化論の五つの謎
第３章　性と文化の深い関係
第４章　人類はイヌとともに進化した
第５章　物質から生命が発生する
終章　生きるということ

船木 亨　
1952年東京都生まれ。東京大博士（文学）。東京大学大学院人文科学研究科（倫理学専攻）博士課程修了。専修大学名誉教授。専攻はフランス現代哲学。著書多数。


なにしろ聖書には、神が生物のすべての種をそれぞれに創造したあとに、神に似せて人間を創り、地上の支配者としたとあります。それに対し、進化論は、神は、生物を創造したりはしていないし、人間は、勝手に、偶然に、何の理由もなく進化してきた生物たちの、ただの末裔にすぎないと主張したのでした。
こうしたことを平然と語り、それでもなお失望も落胆もしていない思想家たち、そのヨーロッパ近代精神の圧倒的な迫力に、われわれは驚嘆せずにはいられないでしょう。しかしながら、そのことは何を意味するのでしょうか。これを受けいれる精神は、どのような意味で落ちついて、引き続き平穏に生きていくことができるのでしょうか。
…略…
〈はじめに　より〉

……、性交渉へと向かう行動を「本能」などと呼んで、あたかも生物が生殖という目的をもっているかのように考えるべきではないであろう。生物は、結果として性交渉にいたるような行動の契機を多々もっているにせよ、その生物の環境に現れる多様な契機に対して、それぞれに反応している連続性が、性交渉をめざす行動と見えるだけであるに違いない。本能の行動はメロディのように展開するといわれるが、刺激に対する反応が、次の反応を呼び出す刺激になる反応を相手の身体に生みだすというシークエンス(場面展開)があるということなのである(だから「多形倒錯」や「変態」がある)。
…略…
〈第3章「性と文化の深い関係」
　　　　　　　　　　　　　　より〉


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