明治や昭和初期の名作の元初版本は入手困難か、または大変高額で手が出せません。お手軽に名作を素晴らしい装幀本で味わえるのが「復刻初版本」です。文豪の名作は一流の画家や装幀家の手によるものが多く、手に取るだけで浮き浮きした気持ちになります。狙いは復刻初版第一刷本です。出版元は内容に変更があれば版を重ね、売れ行きを見て刷を重ねますが、初版第一刷は発行当時のオリジナリティが保たれていて、発行部数も少ない為に人気があります。





「檸檬」は1925年（大正14年）1月1日発行の、中谷孝雄、外村繁らとの同人誌『青空』1月創刊号の巻頭に掲載された。単行本は、梶井の友人である三好達治らの奔走により、梶井の亡くなる1年ほど前の1931年（昭和6年）5月15日に武蔵野書院より刊行され、これが梶井の生涯で唯一の出版本となった。

三高時代の梶井が京都に下宿していた時の鬱屈した心理を背景に、一個のレモンと出会ったときの感動や、それを洋書店の書棚の前に置き、鮮やかなレモンの爆弾を仕掛けたつもりで逃走するという空想が描かれている



翻訳版は英語、スペイン語、ロシア語、中国語、フランス語、ドイツ語などで出版されている。





昭和６年５月に武蔵野書院より初版発行された梶井基次郎「檸檬」の復刻版で、近代文学館・名著複刻全集・昭和４９年５月初版第５刷発行です。函・本体とも経年のヤケも少なく、シミや汚れ、書き込み、シールの剥がし跡、蔵書印などはありません。４９年前の古書であることをご理解の上、購入のご検討をお願いいたします。