モーツァルト

①ヴァイオリン協奏曲 第4番 ニ長調 K.218

②ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調 K.219「トルコ風」

③ロンド 変ロ長調 K.269



オーギュスタン・デュメイ(ヴァイオリン)

指揮：エマニュエル・クリヴィヌ

ワルシャワ・シンフォニア

録音：1989年



フランスを代表する名ヴァイオリニスト、デュメイの初期の名盤。やや粗削りでも、技巧的にも充分に楽しめるモーツァルト。特に第5番のカデンツァなどは自由自在。艶美な歌い回しや大胆なテンポの変化など、テクニックを駆使した楽しさに満ち溢れ、気分が高揚する要素満載の快演です。瑞々しくて弾けんばかりの生命力に満ち溢れた美しく、楽しく、しかも崇高な演奏です。何と言っても常にデュメイのヴァイオリンが高らかに歌っているのです。生きる事の素晴らしさを高らかに歌っています。それは決して我々を突き放した高みにあるのではなく、彼の長い足を膝まづいて我々のところに降りて来て「さあ、モーツァルトの音楽の素晴らしさを一緒に楽しみましょう！」と誘いかけてくれる暖かさに満ち溢れています。



デュメイのヴァイオリンが前面にでていて、しっかりと聴かせてくれます。録音がとても良く、デュメイの美しい音が存分に堪能出来ます。繊細で透きとおるように美しいです。寸分の狂いもない完璧過ぎる音程にも驚かされます。



デュメイの弾き振りでない方のモーツァルト。フランス風のモーツァルトが明晰で、ヴァイオリンの自由度は弾き振りの新盤より優ります。第５番の冒頭、管弦楽の提示の後、ヴァイオリンの序奏の登場ですが弱音の微細、これがテンポを変えて主題に移るときに思いもかけない効果を生みます。古くはティボー。フランコ＝ベルギー楽派、グリュミオーに学んだデュメイ。デュメイ曰く「グリュミオーからは、技術的なことよりもむしろ、音楽の考え方や芸術一般のことをより多く学びました。ただモーツァルトに関して言えば、彼は純粋の器楽の作者であると同時に、劇場の人でもあったということです。モーツァルトは歌うように弾かなければいけません。これはグリュミオーから学んだというより、私の持論です。」



国内盤、帯無し、盤面傷無し 8



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