✳︎著者　土佐西畑デコ芝居編纂委員会 編
✳︎出版社　春野町
✳︎刊行年　1997
✳︎ページ数　407p
✳︎サイズ　B5

○表紙・1967年 人形劇団プーク 「第3回日本の人形劇―伝統と現代―」で上演する朝日若輝一座(幕引き道化)

○裏表紙・1973年 国立劇場第17回民俗芸能公演での中山一喜とピコロ座 (岩見重太郎・大蛇退治)

◉ 「土佐西畑デコ芝居」とは
土佐では人形をデコといい、人形芝居はデコ芝居と呼ばれていた。

あがわ さいばた 明治12年頃、土佐の一農村、吾川郡西畑村 (現在の春野 町西畑)に日本の棒使い人形劇史の礎となる発見があった。

“西畑のデコ芝居”と呼ばれるその人形は、人形劇の研究 に歴史のある、ヨーロッパ、旧ソビエト・ロシアの棒使い 人形にも勝る差し金 (棒) 使いの構造と技法であった。

明治の時代に、高価な舶来のコウモリ傘の丸骨のハガネのしなりに着目し、創始された独自の差し金使いの技法は、 それまでの日本の棒使い人形の手が、衣装の中、または袖の後ろから操作されていたものを現代人形劇で一般的に見られるような、人形の前に出した点で画期的なものであった。

しなやかな“逆転の発想”である。人形といえどもこの技 法によってあたかも人間のように動くその精巧さに「空気 人形」などと驚嘆の賛辞が寄せられたという。

西畑デコ芝居は、自由民権運動に始まる日本社会の「近代化」の中で生まれ、育ち、時代とともに生きたのである。

その歴史をたどると、農村文化、民衆の創造力の豊かさと 強さを知ることができる。

ここに初めて約300点の写真・ 図版を収録し、演劇、人形劇、民俗学研究者の執筆で全貌 に迫る。

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